
大人になると、会ったことがない人と食事をする機会が増える。しかし、よく知らない人と、よく知らないまま会っても話が盛り上がるはずがない。有意義な時間にするためには、相手について基本的な情報を把握した上で会うべきだし、それがマナーというものだろう。僕たちはビジネスパーソンなのだから。
もし、会食の予定が決まったなら、事前調査から始めよう。秘書を呼んで、よく知らない人に関する情報をレポートにまとめてもらおう。そう考えたところで気づく。あれ? そういえば、おれ、秘書いないじゃん!
これは困った。秘書がいない側の人類である自分には、夜なべしながらインターネットの大海をサーフィンし、情報のピースを求めて彷徨い続けること数十年、気がつけばワシも随分歳をとったものじゃ……と、本来の目的を忘れてSNSのタイムラインをひたすら眺め続けるような未来しか待っていないのだろうか。いや、そんなことはない。厳密に言うと、2024年12月まではそうだったのかもしれない。しかし、今はDeep Researchがあるではないか。
僕たちはインターネットで何かを調べるとき、検索して有益な情報を探し、それをまとめたり、参考になるページのURLを記録したりする。Deep Researchは、AIがそれを代行してくれる。DQ3の転職ルートについてまとめてもらったら、他の職業から勇者に転職するプランを提案してくれたりして、若干不安な気持ちにさせてくることもあるが、そういうところも拙い秘書の愛らしさと捉えると大らかな気持ちになれる。勇者は転職できないし、転職でなれる職業ではない、みたいな当たり前のことは、わざわざ攻略サイトには書いてないよね。ゲームのことを全く知らない秘書が、知らないなりに地道に攻略サイトを見ながら、丁寧にまとめてくれたのだろう。
会食のためのプロンプト
というわけで、長々とした前置きになったが、以下のプロンプトをGeminiに放り込んで、しばらく待っているだけでレポートは完成する。モデルはGemini 1.5 Pro with Deep Researchを使用。まとめてくれたレポートは、そのままGoogleドキュメントに保存することもできる。
{Organization}の{Title}{Name}氏と会食の予定があり、十分な前提知識を持って臨みたいので、{Organization}と{Name}氏についてまとめて欲しい。会社の過去や未来、そして{Name}氏個人に関する情報、経歴や考え方、趣味、エピソードなど。出典や情報源のリンクも併せて添付してください。
{Name} に名前、{Title} には肩書きなど、{Organization} には組織名を入れて使用する。ググるときに {Name} だけで検索すると、世界中に数多存在する {Name} という名前の人がゾロゾロと出てくるので、対象を絞り込むために付加情報を足していくイメージ。記載する内容は、検索で目的の情報を引き出しやすいキーワードを考えるイメージで柔軟に調整すると良い。もし、わからなければ、実際に検索してみて、自分が求めている情報が一番多いものにすればいいと思う。
稀に「その人物については十分な情報がない」と断られるケースもあるが、名前の書き方や質問を微調整して再度リサーチしてもらえば良い。修正せずに同じ文章でやり直すだけでうまくいくこともあるので、Geminiの気分次第なのかもしれない。
リサーチ結果の品質については、リサーチ対象の情報がインターネット上にどれくらいあるかによって変わりそうだ。著名人であったり、そうでなくても、ブログや広報記事、インタビューなど、インターネット上のコンテンツに露出が多いと、品質が安定しやすいように感じる。インターネット上の情報をリサーチしているのだから、当たり前ではあるのだが。
Deep Researchしてみる
試しに上司のことをリサーチしてもらったら、結構いい感じのレポートが出来た。そのまま掲載したいのだけど、さすがに上司に関する個人レポート(しかも嘘が混じっているかもしれない)をそのまま掲載するのは憚られる。なので、ここでは自分の情報をディープエゴサしてみる。僕の場合は、本名だけでは情報量が心もとないので、はてなIDやSNSのユーザー名も併記してみた。
株式会社はてなのデザイナー川上淳( akawakami / @akwkm )氏と会食の予定があり、十分な前提知識を持って臨みたいので、株式会社はてなと川上淳氏についてまとめて欲しい。会社の過去や未来、そして川上淳氏個人に関する情報、経歴や考え方、趣味、エピソードなど。出典や情報源のリンクも併せて添付してください。
これで出力されたものがこちら。23件のウェブサイトをリサーチしてまとめてくれたらしい。上司リサーチは92件のウェブサイトがリストアップされていたので、素材となる情報量には大きな差がありそうだ。
非常に本物っぽい。所々、間違いだったり、勘違いだったりする情報も混じってはいるのだけど、全体的には本物っぽくまとまっている。これを元にリサーチしてきた人と会話をしても、それほど違和感を感じないかもしれない。
インターネット上の情報量が少ない場合は、どうしても内容が薄くなったり、同名の別人、別会社の情報が混じったりして、怪しい情報が混在する。まあ、人間でも勘違いすることはあるのだから、間違ってるところもあるかもね、くらいの気持ちで受け取ると、ちょうど良さそうに思えた。
まとめ
勇者の転職問題もそうだが、良くも悪くもリサーチ対象がインターネット上の情報に限られるところに、Deep Researchの限界のようなものがあるのかもしれない。インターネットにない情報は調べようがない。とはいえ、同名の別人や別会社の情報を誤認してしまうところなどは、Deep ResearchのモデルがGemini 2.0になれば、さらに精度は高くなるんじゃないか。
なんといっても、この秘書はインターネットに接続できれば、いつでもどこでも呼び出せるので、会食で予定外の人物が登場しても安心。その場でこっそりスマホからリサーチを依頼すれば、数分でレポートをまとめてくれる。
とはいえ、事前調査はあくまで会話の取っ掛かり。足りない情報や、もっと詳しく知りたいこと、パーソナルな話題など、インターネットにない部分を掘り下げていくのは人間のターンだ。
秘書のレポートを片手に、今日も良い会食を。










