みなさんはこの曲をご存知だろうか。
そうめんマズイ 茹でたの誰だ
俺だ そうだ 食いたくねえ
ゆるゆる食感 人生そのもの
噛めば噛むほど 惨めだぜ再興 最強 サイコの国が
群れる社会を マッドにさせる
狂って食べたら そうめんうまい
無限におかわり 10000杯くれゆるゆるしてるが ヌメヌメしてるが
人間五十年 そこがいいのだそこがいいのだ そこがいいのだ
そこがいいのだよビールぬるいぜ 冷やしておけよ
俺だ そうだ 気が利かねえ
ぬるぬる喉越し 人生そのもの
飲めば飲むほど のど渇く再興 最強 サイコの国が
揺れる視界を マッドにさせる
狂って飲んだら ビールがうまい
無限におかわり 10000杯くれぬるぬるしてるが 腹にたまるが
人間五十年 そこがいいのだそこがいいのだ そこがいいのだ
そこがいいのだよ
これはHUMOR MORE MOREというバンドの『そこがいいのだ』という曲だ。あなたが知らないのは当たり前で、このバンドは僕が書いた不機嫌ラジオという小説に登場する架空のバンド。実在はしていない。
歌詞は書いたものの、曲はない。曲をつけてやりたいとは思うものの、音楽制作環境を整えるほどのモチベーションも湧かず、なんとなくそのままにしていた。
そんなとき、freedom dictionary 230号をパラパラ読んでいると、SUNOの特集が載っていた。最近はいろんな生成AIサービスが出ているけど、音楽はまだ作ってもらったことがなかったな。
以前、知人からSUNOのことを教えてもらったときは、あまり興味が持てず、ブックマークしたまま放置していたのだけど、アーティストがSUNOについて考察した記事を読んで興味が出てきた。AIによる生成物をどう評価していくかとか、著作権まわりの問題など、サービスの周囲にはさまざまな課題があるものの、新しく登場した表現手段として試してみたくなった。これを機に、お試しがてら、SUNOに『そこがいいのだ』を作ってもらえばいいんじゃないの。
SUNOがつくる『そこがいいのだ』
SUNOは歌詞とスタイルを指定すると、それに合わせて曲を生成してくれる。スタイルは、hip hop funk alternative rockのような音楽ジャンルっぽいものからsad aggressiveのようなエモーショナルなものまで、さまざまなワードが提案される。そこから好みのものを選んでもいいし、自由記入欄に直接説明を書き込んでもいい。
サジェストされたワードを組み合わせるだけで、いい感じに表現できるかどうか不安だったので、ニュアンスを自分で書いてみることにした。
絶叫系男性ボーカルの荒々しい歌声、激しいギター、うなるベース、バタバタと激しいドラム
とても乱暴なテキストでSUNOには申し訳ないと思ったけど、AIはかしこい存在なので、うまくニュアンスを汲み取ってくれるのではないか。そんな期待をしつつ、生成してみたのが次の曲だ。
普通にすごい。歌ってるやん!
あんなに雑なプロンプトで、よくここまでちゃんとした曲にしてくれたものだよ。
でも、HUMOR MORE MOREには設定がある。
HUMOR MORE MORE(ユーモアモアモア・HMMM)は、日本のロックバンド。略称は「モアモア」。荒削りながらも、どことなく文学的なニュアンスを帯びた独特な歌詞と、叙情的なメロディ、そして浅野灯人の囁きと叫びが共存する独特のボーカルが特徴で、幅広い世代から支持を集めている。メンバーは高校の同級生だった浅野灯人と矢本トモヤに、音楽専門学校で出会った岡島丘自慢が加わって結成された。バンド名は「ユーモアをもっともっと」という意味ではなく、浅野が好きな海外文学の一節「Humor, more more than a humor」(ユーモアは単なる笑いよりも深い)からインスピレーションを得ている。
メンバー
- 浅野灯人(あさのとうと・トート)Vo. / Gt.
- 矢本トモヤ(やもとともや・ヤモトモ)Ba.
- 岡島丘自慢(おかじまおかじまん・オカジー)Dr.
音楽性
- サウンド: ポストロックとインディーロックを基調としながら、時にフォークやエレクトロニカの要素も取り入れる実験的な面も。
- 浅野のボーカル: 囁くような静かな語りと、感情が爆発するような叫びが共存する独特の歌唱法。時折フォルクローレのような民族的な発声技法も取り入れる。
- 矢本のベース: メロディアスなフレーズが特徴的で、単なるリズム隊ではなく、もう一つのリードパートとしての役割も担う。
- 岡島のドラム: 正確なタイミングと変則的なリズムパターンの組み合わせが特徴。ジャズドラマーとしてのバックグラウンドが影響している。
沿革
- 結成:5年前、下北沢のライブハウス「立方体」での初ライブ
- インディーズ時代:自主制作EPを2枚リリース(「言葉にしたら溶ける」「コンビニなのかよ」)
- ブレイク:3年前、ロックフェスのルーキーステージに出演し注目を集める
- メジャーデビュー:2年前、マルーン・シカクーンから1stアルバム「うたた寝タタタ」をリリース
- 現在:2ndアルバム「そこがいいのだ」をリリースし、全国ツアー『MORE MORE HOUR TOUR』を展開中
エピソード
- 浅野は作詞作曲に没頭すると数日間食事も取らずに創作することがあり、バンドメンバーから心配される
- 矢本は実は古典文学専攻の大学院生で、バンド活動と研究を両立している
- 岡島は「丘自慢」という変わった名前の由来を頑なに明かさず、インタビューのたびに異なる冗談めいた回答をする
これを読んでから曲を聴くと、なんか違うよな〜という感じ。まあ、「絶叫系男性ボーカルの荒々しい歌声、激しいギター、うなるベース、バタバタと激しいドラム」としか指定していないのだから、違和感があって当然ではある。
では、このバンドの音楽性に関する部分をそのままプロンプトにしてみると、出力は変わるだろうか。
バンドプロフィールで曲に輪郭を与える
先ほどのバンド設定から、音楽性に関する部分を抽出する。
HUMOR MORE MORE(ユーモアモアモア・HMMM)は、日本のロックバンド。略称は「モアモア」。荒削りながらも、どことなく文学的なニュアンスを帯びた独特な歌詞と、叙情的なメロディ、そして浅野灯人の囁きと叫びが共存する独特のボーカルが特徴で、幅広い世代から支持を集めている。
- サウンド: ポストロックとインディーロックを基調としながら、時にフォークやエレクトロニカの要素も取り入れる実験的な面も。
- 浅野のボーカル: 囁くような静かな語りと、感情が爆発するような叫びが共存する独特の歌唱法。時折フォルクローレのような民族的な発声技法も取り入れる。
- 矢本のベース: メロディアスなフレーズが特徴的で、単なるリズム隊ではなく、もう一つのリードパートとしての役割も担う。
- 岡島のドラム: 正確なタイミングと変則的なリズムパターンの組み合わせが特徴。ジャズドラマーとしてのバックグラウンドが影響している。
これを英訳してプロンプトにしてみたのがこちら。SUNOのスタイルは1000文字が上限のようだけど、912文字でなんとか収まった。
HUMOR MORE MORE (HMMM) is a Japanese rock band. Known for their unique lyrics—which are raw yet imbued with a certain literary nuance—lyrical melodies, and a distinctive vocal style where Akari Asano’s whispers and screams coexist, they have garnered a following across a wide range of age groups. - Sound: While rooted in post-rock and indie rock, the band also has an experimental side, occasionally incorporating elements of folk and electronica. - Vocals: A unique singing style that blends quiet, whisper-like narration with emotional, explosive screams. The singer occasionally incorporates folk-like vocal techniques. - Bass: Characterized by melodic phrases; the bass serves not merely as part of the rhythm section but also as a secondary lead instrument. - Drums: Characterized by a combination of precise timing and irregular rhythm patterns, influenced by the drummer’s background as a jazz drummer.
というわけで、曲の歌詞と新しいプロンプトをスタイルに指定して、新たに『そこがいいのだ』を生成してみた。
おおー、だいぶ変わった!
音楽性のニュアンスが反映されている気がする。曲そのものの詳細ではなく、設定のような周辺情報から肉付けできるのはおもしろい。
作曲されるのも楽しい
ほかにもSUNOにはPremierプランで利用できるSUNO Studioという機能があって、生成したトラックをパートごとに分離したり差し替えたり、MIDIトラックやエフェクトを追加したりと、DAWのような環境で細かな編集ができるらしい。
かつてサンプリングが、多くの訴訟を経て「ライセンスを取得してサンプリングする」というスキームを確立するに至ったように、音楽生成もいずれ当たり前の制作技術として定着するのかもなー、とぼんやり考えた。
追記
というわけで、ラジオ風小説『不機嫌ラジオ』はカクヨムにて公開中です。秋頃までには第3回を更新したいものです。










