これは新天地か

アゲ太郎のアニメすごいなーと思った。

これまでは、ああ、アニメ化するのかーくらいの認識でしか無く、実はそれほど期待していなかったんだけど、何気なく観てみたところ、とても良く出来ていて、次回を楽しみに待っている僕がいる。

当たり前だけど、漫画は音が鳴らない。擬音で表現する事は出来ても、実際には鳴っていない。音楽をテーマにした作品なのに肝心の音楽が無い。つまり、作品の世界観を形成する一番重要な部分が読者のイメージに委ねられているということになる。だけど、かっこよさというのは個々の感性に依存するので必ずしも一律ではない。なので、アゲ太郎のフロアシーンに投影している音楽的なかっこよさみたいなのは、ある程度、人によって違っているんじゃないか。同じ作品を読んではいるが、それぞれの体験に乖離があるということだ。

それでも、作中でかっこいいとされてるDJプレイは、あらゆる視聴者にとって実際にかっこいいものでないといけない。BGMのトラックメイクは当然のこと、そもそも、DJプレイにとんかつの揚がる音を入れるというアイデアで本当にオーディエンスはアガるのかよく分からなかったり、キャベツを刻む速さはBPMと同じでないといけなかったり。音がないメディアでありながら音を使って物語が展開する、この作品をアニメ化するのって、単純に静止画を動画にするというより、アイデアレベルのものを現実化するみたいな大きなチャレンジだったんじゃないかな。

実際に観てみると、アニメのアゲ太郎は細部まで丁寧に作り込まれていて、制作者の職人っぽさを感じた。作品のイメージを大切にしながら、そこに独自の解釈も交えて世界観を広げていくBGM。心地よいテンポを崩さないようきめ細かにエディットされたセリフのタイミング。BPMとシンクロするSE(キャベツとか)。まさか!!!

アニメ化とDJって同じなのか!!!???